治具設計から手配図面作成まで80%削減を実現――高橋金属がWOGOと挑む「溶接治具自動設計システム」開発
3D設計・CAD自動化
Posted on・2026/05/29
Updated on・2026/05/29
Index
ものづくり業界では、技術者の高齢化や後継者不足を背景に、「技術の継承」と「業務効率化」の両立が急務となっています。特に金属加工の現場では、専門知識を要する治具設計が技術者の時間を大きく占め、本来注力すべき技術開発や創造的な業務が後回しになりがちです。
高橋金属株式会社は、「私達の成長で世の中がよくなる会社に」を経営理念に掲げ、「超塑性加工」と「環境先端技術」の製品を世界中に届けてきた金属塑性加工総合メーカーです。設計から完成品まで手掛けるワンストップサービスと、お客様の困りごとを技術で解決する提案力を強みに、多くの企業の製品付加価値向上を支えています。
今回WOGOは、高橋金属と共同で、溶接治具の設計から手配図面作成の工程を大幅に自動化する「溶接治具自動設計システム」を開発しました。本記事では、開発の背景、WOGOを選定した理由、そして導入によって生まれた成果についてご紹介します。
1. 抱えていた課題 〜技術者が”治具設計作業”に追われる現場
高橋金属では、製品の品質と安定を支える治具設計が長年の課題となっていました。治具設計には、標準化できる作業的な部分と、高度な経験と創造力が必要な技術的な部分の両方が存在します。しかし、この2種類の業務を同じ技術者が担わなければならず、結果として技術開発や高付加価値な業務への時間が十分に確保できない状況が続いていました。
「ものづくり業界全体の課題である技術者の育成が大きな課題になっています。特にものづくりの品質と安定を支える治具設計には標準化された作業的な部分と創造力が必要な技術的な部分の両方を技術者が全てしなければならず、技術開発への時間確保が課題となっていました。」
技術者が持つ専門知識や創造力を最大限に発揮するためには、繰り返し作業を自動化し、人間にしかできない業務に集中できる環境が不可欠でした。
2. WOGOを選んだ理由 〜”あきらめていた”自動化の可能性を信じて
高橋金属がWOGOとの協業を決断した背景には、偶然のマッチングと、そこから生まれた強い共感がありました。
きっかけは、滋賀県開催のスタートアップオープンイノベーションイベントでした。当初、治具設計の自動化は技術的なハードルが高く、高橋金属では「半ばあきらめていた」テーマでした。しかし、AIやデジタル技術の急速な進化とスタートアップ企業の先端技術に新たな可能性を見出し、WOGOとの出会いが実現しました。
「当初治具設計の自動化は半ばあきらめていましたが、昨今のデジタル技術やAIの進化とスタートアップ企業の先端技術に可能性を見出し、WOGO様とのマッチングが実現しました。WOGO様は3D×AI技術を強みとしながらも金属加工業に興味をもたれ、弊社の困りごとに対してスムーズな受け取りをしていただき非常に親和性を感じました。また、皆様が楽しく仕事をされているのが非常に印象的で、一緒にお仕事をしたいと感じました。」
3D×AI技術への確かな専門性と、ものづくり現場への誠実な関心。その組み合わせが、高橋金属がWOGOを選んだ決め手となりました。
3. 開発したソリューション 〜3Dモデルを入力するだけで治具設計が完了
今回開発したのは、溶接治具の設計〜手配図面作成の工程をワンストップで自動化する「溶接治具自動設計システム」です。
従来、治具設計には熟練技術者によるCAD操作と設計判断が必要であり、多くの時間と専門知識が求められていました。本システムでは、3Dモデルをソフトウェアに投入するだけで、治具部品が自動的に配置され、手配データや組立図が出力されます。
これにより、治具設計における作業的な部分を自動化し、CAD操作ができない担当者でも治具手配が可能になりました。技術者は創造力が求められる技術的な業務に集中でき、設計時間と製作リードタイムの大幅な短縮が実現しています。

4. プロジェクト推進におけるWOGOへの評価
プロジェクトを通じて、高橋金属が特に評価したのはWOGOの対応スピードとコミュニケーションの質でした。
「遠方ながら弊社にもすぐに来社いただき、現場を見ながらのヒアリングを行いました。要件定義などもWeb会議をベースに頻繁に行うことでお互いの認識違いもなくスムーズに進められました。進捗についてもデモ版を早期に見せていただき、開発スピードに関しては驚かされたほどです。対応力とレスポンスの高さにWOGO様の意欲や技術力の高さを感じました。」
現場へ足を運ぶ姿勢と、頻繁なWeb会議による密なコミュニケーション。さらに、早期のデモ提供によってフィードバックループを素早く回す開発体制が、プロジェクトの成功を支えました。
5. 現在感じている効果と、今後期待されるインパクト
本システムの導入によって、最も大きな効果として挙げられたのが、技術者の時間確保です。従来の設計手配工程と比較して、80%の工数削減を達成しました。
「一番の効果は技術者の時間確保ができたことです。従来の設計手配時間から80%工数削減ができました。」
今後は、本システムのさらなるブラッシュアップとともに、対応製品の拡大も予定されています。製作でのポカヨケ(誤り防止)機能の追加や、製造現場での治具手配完結を目指すことで、製品リードタイムの短縮や品質の安定化にもつながることが期待されています。
6. 今後の展望 〜”時間という資産”をものづくり現場に取り戻す
高橋金属では、今回の取り組みを一つの起点として、AI・デジタル・自動化の活用をさらに広げていくビジョンを描いています。
「時間という資産がなによりも大切だと考えています。時間を有効に使うすべとしてAIやデジタル、自動化を今まで難しい領域にいかに展開できるかがカギになると考えています。技術者に想像する自由な時間と現場へはものづくりに集中できる時間を創り出すことが成長への資産になると考えています。WOGO様には今後も3D×AI技術にて他社ではできない業務効率の向上に向けて共創できることを期待しています。」
WOGOは、今回の高橋金属との取り組みで得た知見を活かし、ものづくり現場における3D×AI技術のさらなる発展に取り組んでいきます。課題の本質を現場で直接吸い上げ、ピンポイントで解決するソフトウェアを届けること。それが、高橋金属とWOGOが共に目指す「ものづくりDX」の姿です。





