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図面探索30分→5分へ――竹内製作所がWOGOと共に実現した類似図面検索システム「LUIGI」

株式会社竹内製作所

システム・AI開発

Updated on2026/06/29

株式会社竹内製作所

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株式会社竹内製作所は、建設機械の開発・製造を手がけるグローバルメーカーです。特に小型建設機械の分野において卓越した開発力と設計・製造ノウハウを持ち、世界各地の現場へ高品質な製品を届けています。同社では長年の開発を通じて膨大な図面資産が蓄積されており、「過去の知見をいかに効率よく次の設計に活かすか」が重要な経営課題となっていました。

そこでWOGOと共同開発したのが、AIを活用した類似図面検索システム「LUIGI」です。設計者が図面PDFをアップロードするだけで、膨大な社内図面データベースから類似形状・構造を持つ図面を瞬時に抽出するこのシステムは、従来30分を要していた部品探索業務を約5分に短縮する見込みを生み出しました。本記事では、プロジェクトの背景から開発の経緯、そして今後の展望までを詳しくお伝えします。

1. 設計者を悩ませていた「似ているはずなのに見つけられない」という課題

竹内製作所の設計業務において、長年にわたり非効率が積み重なっていた領域があります。それが「既存図面の流用検討」と「類似部品の探索」です。

同社では数十年以上にわたる開発の積み重ねにより、膨大な量の設計図面が社内に蓄積されています。新しい部品を設計する際、過去の類似設計を参照することは品質向上やコスト削減に直結する重要な工程です。しかし実態は、設計者個人の経験や記憶、あるいはフォルダを手作業で探し回ることに依存しており、「似ているものがあるはずだが見つけきれない」「過去に類似設計があるかどうかの確認に時間がかかる」という状況が日常的に発生していました。

特に生産管理部門では、新規部品の見積先を選定する業務において、類似部品を探し出して比較検討するプロセスに1部品あたり平均30分ほどを費やしていました。これが毎日複数件にわたって発生するため、本来注力すべき新規設計や付加価値の高い検討への時間確保が難しい状況でした。

また、この問題はベテラン設計者だけの課題ではありません。若手設計者にとって、蓄積された過去資産の存在自体を把握することすら困難であり、「暗黙知の継承」という観点からも組織的な解決策が求められていました。

2. WOGOを選んだ理由――「図面そのものをAIで読み解く」アプローチへの期待

類似図面探索の自動化を検討するにあたり、竹内製作所が注目したのがWOGOの提案するアプローチでした。従来のソリューションは、人手による事前分類やキーワードタグの付与に依存するものが多く、図面点数が膨大になるほど運用コストが増大する課題がありました。

WOGOが提示したのは、AIによって図面そのものを解析し、形状や構造の類似性を自動的に判断するという方法です。キーワードへの依存を排除し、図面データを直接処理するこのアプローチは、膨大な図面資産を持つ竹内製作所にとって理想的な解決策に映りました。

技術的な優位性に加えて、WOGOの開発姿勢も選定の決め手となりました。「現場の業務フローを踏まえた提案力と柔軟な開発姿勢、そしてPoCの段階から密にコミュニケーションを取りながら進められる点」が評価されました。汎用パッケージを導入するのではなく、自社の業務に合わせてシステムをゼロから構築していく共創型の進め方は、竹内製作所が求めていたものと合致していました。

3. 開発したソリューション――類似図面検索システム「LUIGI」

WOGOとの共同開発により誕生したのが、類似図面検索システム「LUIGI(ルイージ)」です。

LUIGIの操作は極めてシンプルです。設計者が図面PDFをシステムにアップロードするか、品番を指定するだけで、AIが社内の図面データベース全体を解析し、類似する形状・構造を持つ図面を自動的に抽出して一覧表示します。従来ならば設計者が記憶を頼りに手作業でフォルダを探し回っていた作業が、数クリックで完結するようになりました。

さらにLUIGIは、単なる形状類似の検索にとどまりません。重量・価格などの観点でのフィルタリング機能も備えており、流用検討だけでなくコスト検討にも活用できる設計になっています。これにより、設計者は類似部品を見つけるだけでなく、そのままコスト比較や流用可否の判断へとシームレスに移行することができます。

システムの核心は、図面の形状・構造特徴をAIが自動的にベクトル化し、類似度を数値的に評価する技術です。人間の目には「似ている」と感じる形状の類似性を、AIが定量的に判断することで、熟練設計者の経験知に依存していた探索プロセスをシステムとして再現しています。

4. プロジェクト推進への評価――「完成形のイメージを持ちながら進められた」

竹内製作所はWOGOとの開発プロセスそのものについても高く評価しています。特に評価されたのは、開発初期から実際の図面データを使った検証を繰り返しながら進める開発スタイルです。

「開発初期から頻繁にデモや改善提案をもらえた。実際の図面データを用いた検証を繰り返しながら、現場の使い方に合わせて機能をブラッシュアップしていく進め方は、完成形のイメージを持ちやすかった」と担当者は語ります。

システム開発において、ユーザー側が「出来上がるまで何が作られているかわからない」という状況に陥ることは珍しくありません。しかしWOGOとのプロジェクトでは、実データを使った頻繁なデモとフィードバックのサイクルにより、竹内製作所の担当者が常に開発の進捗を肌感覚で把握できる環境が整えられていました。

この共創的な開発スタイルは、最終的なシステムの現場フィット感にも大きく寄与しました。現場の使い方に合わせて機能を磨き込んでいくアプローチは、汎用パッケージでは実現しにくい「自社業務に本当に合ったシステム」を生み出すための重要な要素となりました。今後はUI/UXのさらなる改善についても期待が寄せられています。

5. 現在の効果と今後のインパクト――探索時間30分から5分へ、組織的な知識活用へ

LUIGIの導入によって、竹内製作所では定量・定性の両面で効果が生まれ始めています。

定量面では、生産管理部における新規部品の見積先選定業務に顕著な改善が見られています。従来は1部品あたり約30分を費やしていた類似部品の探索・比較作業が、LUIGIの活用により約5分程度まで短縮できる見込みです。これは作業時間にして約83%の削減に相当します。1日に複数件の見積業務が発生する現場では、この効率化が積み重なることで年間を通じて相当な工数削減につながると期待されています。

定性面での変化も見逃せません。担当者からは「過去図面を探す心理的ハードルが下がった」「類似形状を素早く確認でき、設計検討スピードの向上が期待できる」という声が上がっています。

また、組織的な知識継承という観点でも大きな意義があります。「若手でも過去資産を活用しやすい環境が整いつつある」という評価が示すように、LUIGIは熟練設計者の暗黙知を若手に伝える橋渡しとしての役割も果たし始めています。ベテランが「経験上知っている」類似事例を、LUIGIがシステムとして提示することで、若手設計者も過去の膨大な知的資産に対等にアクセスできるようになりつつあります。

6. 今後の展望――「検索ツール」から「設計の意思決定支援システム」へ

竹内製作所が描くLUIGIの次のステージは、単なる「探索ツール」を超えた存在です。現在は設計者が能動的に類似図面を検索するツールとして機能しているLUIGIを、今後は実際の設計業務フローに深く組み込み、設計の意思決定を支援する仕組みへと発展させることが目標です。たとえば、設計中の部品に対してリアルタイムで類似事例を提示したり、コスト・重量・加工難易度などの複合的な観点から最適な流用候補を推薦したりする機能の拡充が検討されています。

WOGOに対しては、「AI技術を活用した新たな付加価値の提案や、現場の課題に即した改善を継続的に期待している」と担当者は語ります。竹内製作所とWOGOのパートナーシップは、単発のシステム開発で完結するものではなく、継続的な改善と新たな価値創出を目指す長期的な共創関係として位置づけられています。

また竹内製作所は、今回の取り組みが自社にとどまらず、同様の課題を抱える製造業企業に広く参考になり得ると考えています。AIを活用したDXを推進したい企業、特に「スピード感をもって試行・開発を進めたい」「汎用パッケージではなく自社業務にフィットしたシステムを構築したい」「まずは動かしながら改善していく進め方を重視する」という企業には、WOGOとのアプローチが有効な選択肢となりえます。

製造業における「図面」は、単なる設計情報を超えた企業の知的資産です。竹内製作所とWOGOが共同開発したLUIGIは、その埋もれた知的資産を現代のAI技術で掘り起こし、設計現場の生産性と品質を高める取り組みの最前線にあります。「30分が5分に」という数字の変化が示すのは、単なる作業効率の改善ではなく、設計者が本来注力すべき創造的な業務に集中できる環境の実現に向けた、確かな一歩といえるでしょう。

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