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CATIAのAI機能とは?LEO・Generative Experiencesでできること、CATIA V5での利用可否、料金

Updated on・2026/09/23

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「CATIA AI」で検索すると、バーチャルコンパニオン、Generative Experiences、Generative Design、Industrial AI といった言葉が並びます。しかしCATIAを使う設計現場で知りたいのは、「自分のCATIAで、いま何ができて、いくらかかるのか」ではないでしょうか。

この記事では、CATIAのAI機能を、ダッソー・システムズの公式発表・公式ブログ・公式製品ページで確認できた範囲に絞って整理します。他社CADとの優劣は扱いません。前回のCAD別AI機能比較で1章にまとめた内容を、CATIAに絞って掘り下げたものです。各記述には出典を添えました。2026年9月時点の公開情報にもとづきますので、導入検討の際は原典と最新のリリースノートをあわせてご確認ください。

この記事の要点

  • CATIAの生成AIは、2026年7月に提供が始まったばかりです。バーチャルコンパニオン「LEO」と「Generative Experiences」が、3DEXPERIENCE CATIA(CATIA V6)R2026x FD03で展開されました
  • どちらも3DEXPERIENCEプラットフォームのSaaS(パブリッククラウド)上で提供されます。CATIA V5やオンプレミス環境で使えるという公式記述は確認できませんでした
  • CATIAの「Generative Shape Design」「Generative Drafting」「Generative Design」は生成AIではありません。名前が似ているため、切り分けて読む必要があります
  • LEOの出力は「提案が毎回レビューと承認に戻る」設計です。AIが設計を代行するのではなく、人が承認する型です
  • 料金は「Blue Tokens」という従量制です。公式ストアに定価が公開されています

CATIAに生成AIは搭載されていますか?

搭載されています。ただし「CATIAという製品にAI機能が追加された」というより、「3DEXPERIENCEプラットフォーム全体のAIが、CATIAにも届いた」という順序で読むと、公式発表のつながりが分かりやすくなります。

時期 出来事 出典
2025年2月4日 「3D UNIV+RSES」を発表。AIサービスの3類型として Generative Experiences、Virtual Companions、Virtual Twin as a Service を提示 公式プレスリリース
2026年2月11日 バーチャルコンパニオン AURA・LEO・MARIE を正式発表。Auraは提供済み、LeoとMarieは2026年中に提供 公式プレスリリース(英語)/日本語参考訳
2026年7月23日 AURA・LEO・MARIE の提供開始を発表。3体合計で19のコンピテンシー 公式プレスリリース
2026年7月28日 CATIA R2026x FD03 で Virtual Companions と Generative Experiences を展開 CATIA公式ブログ

公式ブログは「Virtual Companions – AURA, LEO, and MARIE – are now globally available on the 3DEXPERIENCE platform SaaS」と書いています。この「SaaS」の一語が、この記事で最も重要な前提になります(後述します)。

全体の関係を1枚にまとめると、次の図のようになります。バーチャルコンパニオンは人と対話しながら働く「働き手」、Generative Experiencesは入力を成果物に変える「自動化された処理」で、どちらもIndustry World Models(産業向け世界モデル)を土台に、3DEXPERIENCEプラットフォームのSaaS上で動きます。ダッソー・システムズCEOのパスカル・ダロズ氏は7月23日の発表で、この関係を「人と並んで働く働き手としてのバーチャルコンパニオン、高度に自動化された処理としてのGenerative Experiences、あらかじめ定義された産業向け世界モデルとしてのVirtual Twin as a Service」と説明しています。

3DEXPERIENCEの産業AIとCATIAの関係を示した階層図
図:3DEXPERIENCEの産業AIとCATIAの関係。階層と矢印は公式の説明文をもとにWOGOが図式化したものです

CATIAの「Generative」は生成AIのことですか?

多くの場合、違います。CATIAには以前からの命名で「Generative」を冠する機能が多く、生成AIと混同しやすいところです。

名称 何をするか 生成AIか
Generative Shape Design サーフェス設計のワークベンチ いいえ
Generative Drafting 3Dから連想図面を自動生成する。公式の製品説明は図面作成ウィザードや寸法の自動生成を挙げるが、AIの記述はない いいえ(ルールベース)
Generative Design(トポロジー最適化) 荷重条件から軽量形状を導く。公式ブログは「powered by topology optimization」と説明し、AIとは書いていない いいえ
Generative-Driven Design(R2026x) パラメトリック最適化の収束を速める機能(R2026x What’s New) いいえ
Virtual Companions(LEOなど) 自然言語で対話し、モデル操作や検証を行うAIエージェント はい
Generative Experiences 文書・画像・スキャンなどから成果物を生成するAI機能 はい

「CATIAで生成AIを使う」と言うとき、対象は下の2行です。以下ではこの2つを見ていきます。

バーチャルコンパニオン「LEO」は何ができますか?

LEOは3体のうちエンジニアリング担当です。公式製品ページは「LEO is trained to use CATIA.」と説明し、FD03のブログは「CATIAとSIMULIAのツールに直接インターフェースしてモデルを構築する仮想チームメイト」と位置づけています。専門領域は機械工学・知識ベース工学・システム工学・要件工学の4分野です。

公式ページで挙げられている働きは、大きく3つです。

  • 既存設計の理解とナビゲート:既存設計の理解、複雑な製品構造の把握、エンジニアリング知識の管理、設計変更の加速(CATIA公式ブログ 2026年8月10日)
  • アセンブリ構造の生成、シミュレーションの実行、モデルの不具合診断と設計エラーの解消(R2026x What’s New)
  • 2Dスケッチからの3Dモデル生成、パラメータ・規制・制約の違反の指摘、製造可能性の検証(Virtual Companions解説ページ)

前回の記事で使った「AIが触る対象の3層」(第1層=操作の予測、第2層=ナレッジの検索、第3層=モデルの生成・編集)で言えば、LEOは第2層と第3層の両方にまたがります。ナレッジ検索にとどまるAIアシスタントと同列に読むと、実態を見誤ります。

出力は「提案」で、承認は人が行う

ここは公式記述をそのまま引きます。製品ページは「Because every suggestion comes back to you for review and validation, you always stay in control.」と書き、解説ページは「responsibility for how it is used remains with the human engineer」と明記しています。

2026年2月の 3DEXPERIENCE World 2026 で行われたLEOのライブデモ(SOLIDWORKS xDesign上)でも、PDF図面からスケッチを抽出し、「ユーザーが承認すると3Dモデルが生成される」流れが示されました(MONOist)。「AIが設計してくれる」ではなく「AIが提案し、人が承認する」型です。運用を設計するときは、承認する人と承認基準を先に決める必要があります。

AURA・MARIEとの関係

同時に提供されたAURAは業務と知識、MARIEは科学(材料・化学)を担当します。日本語プレスリリースでは、Leoは「設計から生産まで、工学分野を横断する高度な技術的課題の解決を支援」と説明されています。3体は別々のAIではなく、SOLIDWORKS CEOのマニッシュ・クマール氏は「同じ知能で、文脈・ペルソナ・制約が違う」と述べています(engineering.com)。LEOが製造可能な案に絞って答えるのは、制約の設計によるものです。

Generative Experiencesでは何が自動化されますか?

FD03のブログは Generative Experiences を「テキスト・文書・図面・スキャンデータといったマルチモーダル入力を、成果物・設計更新・バーチャルツインの拡充といった実行可能な出力に変換するAI機能」と定義しています。入力は文書・図面・スキャン、出力は成果物やモデル更新です。

FD03で追加・拡張されたものとして、公式ブログは次を挙げています。

機能名(公式表記) 内容
Solid Features Creation ソリッドフィーチャーの作成
Part Generation from multimodal inputs 画像や文書などマルチモーダル入力からの部品生成
Assembly Generation through predicted mechanical interfaces 機械的インターフェースの予測によるアセンブリ生成
Generative Engineering Rules エンジニアリングルールの生成(内容の詳細は公開情報で確認できず)
Generative Systems Requirement creation システム要件の生成
Generative Systems Architecture suggestions システムアーキテクチャの提案

CATIAの産業AI製品ページでは、用途として「PDFから構造化された仕様モデルを生成」「3Dスキャンからパラメトリックモデルへ」「1枚の画像から完全定義されたCATIAパーツへ」「機械的インターフェースからのアセンブリ生成」「図面の自動生成」が並びます。ただし図面の自動生成がどのFDで提供されたかは、公式ブログでは確認できませんでした。

CATIA V5でもAI機能は使えますか?

公開情報の範囲では、CATIA V5上でバーチャルコンパニオンやGenerative Experiencesを使えるという記述は見当たりません。

FD03のブログは提供先を「3DEXPERIENCE platform SaaS」と書き、公式ストアのBlue Tokens購入条件も「Your environment must be hosted on the Public Cloud」です。オンプレミスの3DEXPERIENCEでバーチャルコンパニオンを使えるかどうかは、2026年9月時点の公開情報では確認できませんでした。

いずれもクラウドを前提にしているため、デスクトップ版であるCATIA V5では使えないと推察されます。利用するには、3DEXPERIENCE CATIA(CATIA V6)をクラウドで使う環境が前提になると考えておくのが現実的です。

CATIAのAI機能はいくらかかりますか?

バーチャルコンパニオンは「Blue Tokens」という従量制で課金されます。公式解説は、Blue Tokensはクレジットのように振る舞い、ユーザーがコンパニオンと対話するたびに消費されると説明しています。

公式ストア(2026年9月時点)の記載は次のとおりです。

項目 公式ストアの記載
パック 25,000 Blue Tokens = 1,250米ドル/年(米国公式ストアの定価)
有効期限 未消費分は12か月で失効。年次で自動更新
消費量の目安 低:テキストの質問、材料の適用、構造チェック。中:日常的な部品への標準的な生成作業。高:大規模アセンブリや複雑形状への集中的な生成作業
購入条件 25か国(日本を含む)に登記された法人で、環境がパブリッククラウド上にあること。該当しない場合はパートナー・営業経由

日本円での価格やパートナー経由の価格は公開されていません。タスクの複雑さで消費量が変わるため、定額のライセンスとは予算の立て方が異なります。ダッソー・システムズは2025年通期の決算発表で「Industrial AIの提供と価値ベースの課金モデルを導入する」と述べており(決算プレスリリース)、この従量制はその一部です。

作業別にいくらになるか、公式情報から試算する

作業ごとのトークン数の公式な表はないので、公開されている数字と記述から目安を組み立てます。

  • 単価:25,000トークン=1,250米ドルなので、1トークン=0.05米ドル(公式ストア)
  • 消費の条件:AIスキルが結果を出したときだけ消費され、対話するだけでは消費されない(SOLIDWORKS公式)
  • 規模感:1パックで「数千回の素早いインサイト」または「数十回の複雑な生成作業」(公式ストアFAQ)
  • 実例:アセンブリの部品数を数える質問が「5〜10セント程度」=1〜2トークン。図面生成は非公開で、モデルの複雑さに応じて増え、独自に学習させた推論はさらに高い(SOLIDWORKS CEOの発言、engineering.com)
作業の種類(公式の3区分) トークンの目安 1回あたりの目安 目安の根拠
低:短い質問、ガイダンス、材料の適用、構造チェック 1〜2 約0.05〜0.10米ドル engineering.comが報じた実例(部品数の集計)
低:素早いインサイト全般 数〜十数 数十セント程度 公式FAQ「1パックで数千回」から逆算
中:日常的な部品への標準的な生成(アセンブリ性能分析、インポート部品のパラメトリック化など) 公式・報道とも数値なし 低と高の間 公式の3区分の中間としてのみ位置づけ
高:大規模アセンブリや複雑形状への集中的な生成 数百〜1,000程度 十数〜50米ドル程度 公式FAQ「1パックで数十回」から逆算

年間の例:設計者1人が「低」を1日20回(2トークン)、「高」を週2回(500トークン)行うと、年240日・48週で約57,600トークン、約2,880米ドル(3パック分)です。「高」が毎日なら5倍近くになります。

SOLIDWORKS Designには1ライセンスあたり2,000トークンの無償枠があります(公式ブログ)が、CATIAでは確認できませんでした。いずれも米国定価にもとづく試算で、日本の販売価格やパートナー経由の条件は含みません。

結局、CATIAユーザーはAIにどう向き合えばよいですか?

「CATIAにAIが載ったか」ではなく、「自社のCATIAがそのAIの対象に入っているか」から確認するのが近道です。判断の順番を3つに整理します。

  • 系統と環境:V5か3DEXPERIENCE(V6)か。3DEXPERIENCEならオンプレミスかSaaSか。バーチャルコンパニオンの公式な提供先はSaaSです
  • 予算の型:Blue Tokensは従量制。試す量と本番の量を分けて見積もる
  • 承認の運用:LEOの出力は提案で、承認は人が行う。誰が何を基準に承認するかを先に決める

そして最初に決めるべきは、いまどこで手戻りが起きているのかです。それが分からないと、第2層のAIが効くのか第3層が効くのかも決まりません。この構造は製造業の設計現場で起きる「手戻りコスト」と3D/2D検図の論点で整理しています。AI機能そのものの進み方は生成AIで設計業務はどう変わる?機械設計AIの進化タイムラインをご覧ください。

CATIAのAI機能に関するよくある質問

AURA・LEO・MARIEはどう違いますか?

役割の違いです。公式発表ではAuraが業務と知識、Leoが工学、Marieが科学を担当します。基盤は同じAIで、文脈・ペルソナ・制約が違うとSOLIDWORKS CEOが説明しています。

CATIA V5でLEOは使えますか?

公開情報の範囲では、V5上での提供を示す公式記述は見当たりません。V5の製品ページにはAIの記載がなく、バーチャルコンパニオンは3DEXPERIENCEプラットフォームのSaaS上で提供されています。

オンプレミスの3DEXPERIENCEでも使えますか?

公式ブログとストアはSaaS・パブリッククラウドを前提に書いており、オンプレミスでの提供は2026年9月時点の公開情報では確認できませんでした。導入前に販売パートナーへの確認をおすすめします。

LEOが生成したモデルはそのまま製造に流せますか?

公式は「every suggestion comes back to you for review and validation」と書いています。生成と検証はセットで、承認する工程は残ります。

まとめ

CATIAの生成AIは、2026年7月に提供が始まった3DEXPERIENCEプラットフォームのAIです。バーチャルコンパニオンLEOとGenerative ExperiencesがR2026x FD03でCATIAに展開され、提供先はSaaS、課金はBlue Tokensの従量制です。

「Generative」と付く従来機能は生成AIではなく、CATIA V5にはこれらのAI機能の公式記述がありません。まず自社のCATIAがどの系統・どの環境にあるかを確認してください。

LEOの出力は提案で、承認は人が行います。運用を設計するときは、承認する人と承認基準を先に決めておく必要があります。

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本記事は、3D・CAD・AI技術を活用し、製造業における設計検証・自動検図・設計/製図自動化のシステム開発に取り組む、東大発スタートアップの株式会社WOGOが執筆しました。

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