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2026年10月26日
図面バラシとは?組図から部品図を起こす手順・部品図に足す情報・効率化の方法
Updated on・2026/10/26
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3D CADで設計を終えても、それで出図が終わるわけではありません。多くの現場では、そこから部品ごとの2D図面を一枚ずつ起こす「図面バラシ」の作業が待っています。
図面バラシは、単に3Dモデルを図面に写す作業ではありません。どの面を基準に寸法を入れるか、どこに公差をつけるか、表面処理や熱処理をどう指示するかなど、3Dモデルには表れない情報を足していく作業です。
この記事では、図面バラシの意味と、3D CADの時代でもなくならない理由を整理したうえで、組図から部品図を起こす手順、部品図に足す情報、効率化と自動化の方法を解説します。
この記事の要点
- 図面バラシとは、組図(組立図・3Dアセンブリ)を構成部品に分け、部品ごとの2D図面(部品図)を起こす作業。「製図」「バラシ図の作成」とも呼ばれる
- 部品図が必要なのは、加工の発注と社内での記録・保存のため。製造に必要な寸法・公差・処理の指示は、今も2D図面で伝えることが多い
- 3D PMIのように3Dモデルで指示を伝える動きはあるが、取引先の町工場まで含めて一気に移行する障壁は高い
- 部品図には、形状に加えて寸法公差・幾何公差・表面粗さ・表面処理・熱処理・溶接記号などを足す
- 効率化の方法は、外注、CADのテンプレート・マクロ、自動製図ツールの活用など。3Dモデルから決まる作図部分は自動化できる
図面バラシとは
図面バラシとは、組図に描かれた製品を構成部品に分け、部品ごとに製造用の2D図面(部品図)を起こしていく作業です。現場では「バラシ」「バラシ図を描く」「製図」などと呼ばれます。
2D CADで設計していた頃は、組立図から部品の形を読み取り、部品図として描き直すのがバラシでした。3D CADで設計する現在は、アセンブリを構成する部品の3Dモデルから、部品ごとに2D図面を作る作業を指すのが一般的です。
組図・部品図・バラシ図の関係
| 図面 | 何を表すか | 主な用途 |
|---|---|---|
| 組図(組立図) | 製品やユニットの全体と、部品の組み合わせ方 | 組立の指示、部品構成の確認 |
| 部品図 | 一つの部品の形状・寸法・公差・材質・処理 | 加工の発注、検査、記録 |
| バラシ図 | 組図をばらして起こした部品図(部品図の呼び名の一つ) | 部品図と同じ |

なぜ部品図を描くのか
3Dモデルがあるのに、なぜ2D図面を描くのでしょうか。理由は大きく二つあります。
加工を発注するため
部品を社外の加工会社に発注するとき、見積や加工の指示に使われるのは今も2D図面が中心です。加工会社は図面を見て、材料、工程、使う設備、検査の方法を決めます。公差や表面処理といった「どう作るか・どこまでの精度で作るか」の指示は、3Dモデルの形状だけでは伝わりません。
社内の記録として残すため
部品図は、その部品を「どう作ると決めたか」の正式な記録でもあります。改訂の履歴とともに図面を残しておくことで、数年後の再手配や、不具合が起きたときの調査、受入検査の基準として使えます。
発注と記録の両面で、2D図面は今も業務の基準になっています。WOGOが製造業の設計部門の方々とお話しする中でも、「加工をお願いしている協力会社は2D図面が前提で、NCプログラムも図面の寸法から作っている」「見積や手配、業者の振り分けも図面の単位で回っている」という声をよく聞きます。設計部門は2D図面を減らしたくても、製造や検査の部門は2D図面を求める、という社内のずれもあります。受注設計では、お客様との打ち合わせも2D図面に書き込みながら進めることが少なくありません。
3D CADの時代でも、図面バラシがなくならない理由
3Dモデルに寸法・公差・注記などの製造情報を直接持たせる「3D PMI」や、それを図面の代わりに使う「3DA図面(3D単独図)」の考え方は、規格や業界団体の指針も整い、取り組む企業も出てきています。図面を描かずに済めば、バラシの作業はなくなります。
ただ、2D図面から一気に移行するには高い壁があります。
- 取引先の対応:加工を請け負う町工場を含めて、すべての取引先が3Dデータを受け取り、そこから加工や検査を進められる体制にあるわけではない
- ツールと費用:3Dの製造情報を扱うには、対応したCADやビューア、専用ツールの契約が必要になる。取引先にも同じ負担がかかる
- 社内の運用:検査の基準、承認や改訂の管理、図面の保管といった社内の仕組みが2D図面を前提にできている
一方で、重要な寸法・幾何公差・注記だけを3Dモデルに持たせ、2D図面には外形の寸法だけを残す、といった段階的な取り組みも始まっています。ただし、3Dモデル上の寸法を人が読みやすい位置に置くには、2D図面と同じように「見せ方」の判断が要ります。データとして入れられることと、読める図面になることは別の話です。
そのため当面は、3Dで設計し、2D図面で伝えるという形が続くと考えられます。図面バラシをなくすのではなく、効率よく正確に行う方法を考えるのが現実的です。
組図から部品図を起こす手順
図面バラシは、一般に次の流れで進めます。
- 部品を洗い出す:アセンブリの部品表から、図面を起こす部品を確定する。購入品や標準品は除き、品番を振る
- 投影図を決める:加工の向きや形状の特徴が分かる面を正面図に選び、必要な投影図、断面図、詳細図をそろえる
- 寸法を入れる:加工や測定の基準になる面・穴から寸法を入れる。抜けや重複がないように配置する
- 公差と表面の指示を足す:はめあいや位置精度が必要な箇所に寸法公差・幾何公差を、面の仕上げが必要な箇所に表面粗さを指示する
- 注記と表題欄を埋める:材質、表面処理、熱処理、一般公差などの注記と、品番・尺度・改訂履歴などの表題欄を記入する
- セルフチェックと検図:3Dモデルや組図と整合しているかを確認し、検図を経て出図する
手順2〜5は、どの面を基準にするか、どこまでの精度を求めるかといった設計意図を図面に落とし込む工程です。同じ形状でも、設計者や会社によって寸法の入れ方は変わります。
部品図に足す情報
3Dモデルから投影図を作っただけでは、部品図として足りません。加工と検査に必要な情報を足していきます。
| 足す情報 | 何を指示するか | 主な記入先・注意点 |
|---|---|---|
| 寸法公差 | 寸法の許される範囲(例:はめあい部の穴・軸) | 精度が必要な寸法だけに個別公差、それ以外は一般公差で指示する |
| 幾何公差 | 平面度・直角度・位置度など、形や位置のずれの許容範囲 | 基準(データム)とあわせて指示する |
| 表面粗さ | 面の仕上げの程度 | 摺動面・シール面など機能に関わる面を中心に指示する |
| 表面処理 | めっき・塗装・アルマイトなど | 種類と範囲、処理前後どちらの寸法かを明記する |
| 熱処理 | 焼入れ・焼戻しなど、硬さの指定 | 処理する範囲と硬さの目安を指示する |
| 溶接記号 | 溶接の種類・位置・大きさ | 製缶・溶接構造物で必要。ビードは3Dモデルに表れないことが多い |
| 材質・一般注記 | 材料、指示のない角の処理、一般公差の等級など | 表題欄や注記欄にまとめる |

これらの情報の多くは、3Dモデルの形状からは決まりません。どこに精度が必要か、どの面が機能に関わるかは、組図の中でその部品がどう使われるかを知っている設計者が判断します。図面バラシに設計の知識が要るのはこのためです。
外形のような一般寸法は形状から機械的に決まりますが、機能に関わる寸法や、はめあい公差・幾何公差は、部品図だけを見ても決まりません。組図と部品図を並べ、相手部品との取り合いを見て決める必要があります。設計部門の方からも「部品図の価値は、こうした機能寸法と公差にある」という声を聞きます。
寸法をどこから入れるかの「正解」も、会社によって違います。同じ板金の穴でも、端面を基準にする会社、曲げを基準にする会社、中心線を基準にする会社があります。JISにも「こうした方がよい」という程度の規定が多く、選ぶ余地があります。旋盤で加工する軸物は横向きに描くなど、加工する側が読みやすい図面の形もあります。社内のルールが文書になっているかどうかが、バラシの品質を左右します。
記入ミスとしてよく挙がるのは、寸法の漏れ、二重寸法、バルーン番号の重複やずれ、表面処理の指示の誤り、材質や締結部の指示漏れ、注記の社内ルール違反です。確認の観点は2D図面の検図チェックリストで整理しています。
図面バラシを効率化する方法
図面バラシは部品の数だけ発生するため、出図前に作業が集中しやすい工程です。効率化の方法には次のようなものがあります。
外注する
図面の点数に波がある場合、外注は物量を吸収する手段になります。「技術者は設計に集中し、バラシは外注する」という分業を取る会社も多くあります。ただし、指示書の作成、受け取った図面の検図、修正のやり取りは社内に残ります。外注先ごとに図面の書き方がばらつく、という声もあります。
CADのテンプレート・マクロ・自動寸法を使う
図枠や表題欄、よく使う注記をテンプレートにしておくと、記入の手間と抜けを減らせます。形状や構成が決まった製品なら、マクロやExcel連携で繰り返し出図する方法もあります。CADの自動寸法機能もありますが、寸法が抜ける、用紙に合わせたバランスの良い配置にならない、といった理由で「最初から自分で入れたほうが早い」という声も多く聞きます。会社ごとの寸法の入れ方まで再現するのは難しいのが実情です。
自動製図ツールを使う
3Dモデルを読み込み、投影図の配置、寸法・公差・注記、表題欄までを自動で生成するツールもあります。形状が変わっても同じ仕組みで出図できるため、多品種の設計にも使えます。
設計部門の方からは、「図面を描いてくれるだけの人がいれば助かる」「完璧でなくても、半分を自動で描いてくれれば十分」という声をよく聞きます。AIや自動製図に下書きを任せ、人が確認して仕上げる、という分担への期待です。ただし前提として、自社の製図ルールや、加工する側が期待する図面の形に沿って描けることが求められます。
懸念の声もあります。若手の設計者は、簡単な部品図を描きながら設計を覚えてきました。図面を描く機会が減ると、人が育たなくなるのではないか、という心配です。自動化を進める場合も、描かれた図面を読み、なぜその寸法と公差なのかを理解する場を残しておくことが大切です。
図面バラシの自動化で、人に残る仕事
自動化できるのは、3Dモデルから決まる作図の部分です。どの面を基準に見せるか、どの寸法を検査に使うか、どこに公差をつけるかといった設計意図は、人が与える前提になります。図面バラシがなくなるのではなく、手を動かす部分を自動化し、設計者が判断に時間を使えるようにするのが自動化の位置づけです。
WOGOのHacadly(ハカドリー)2D自動製図は、3Dモデルと補足情報から、投影図・寸法・公差・注記・表題欄を備えた2D図面を自動で作成します。基準面やデータムなどの設計意図を与えたうえで、各社の製図ルールに合わせて出図できます。3Dモデルから図面を自動作成する方法の全体像は、AIで図面を自動作成する方法で解説しています。
図面バラシに関するよくある質問
バラシ図と部品図は同じものですか?
ほぼ同じものを指します。組図をばらして起こした部品図を、現場ではバラシ図と呼ぶことがあります。正式な図面の種類としては部品図です。
図面バラシは誰が担当しますか?
設計者本人が担当する会社が多い一方、製図専任の担当者や若手設計者が担当したり、外注したりする会社もあります。部品図に足す公差や処理の指示には設計意図の理解が必要なため、外注や分担をする場合も、設計者による指示と検図が欠かせません。
3D PMIを使えば、図面バラシは不要になりますか?
3Dモデルに製造情報を持たせれば、2D図面を描く作業は減らせます。ただし、取引先がそのデータを受け取って加工・検査できることが前提です。社内の検査や記録の運用も変える必要があるため、多くの現場では2D図面との併用が続いています。
一般公差だけで部品図を描いてもよいですか?
精度を求めない寸法は、一般公差で指示して問題ありません。一方、はめあい部や位置精度が必要な箇所は、個別に寸法公差や幾何公差を指示する必要があります。すべてを一般公差で済ませると、必要な精度が出なかったり、逆に全体を厳しくしすぎて加工費が上がったりします。
図面バラシを外注するか自動化するか、どう決めればよいですか?
物量の波を吸収したいなら外注、同じ基準の図面を安定して出したいなら自動化が向いています。ルール化しやすい定型的な部品は自動化で内製に戻し、形状が特殊なものや突発的な物量は外注で受ける、という併用が現実的です。
まとめ
図面バラシは、組図を部品ごとに分け、加工と記録に使う2D部品図を起こす作業です。3D PMIのような動きはあるものの、取引先や社内の運用を考えると、2D図面は当面なくならないと考えられます。
部品図には、形状と寸法に加えて、寸法公差・幾何公差・表面粗さ・表面処理・熱処理・溶接記号などの情報を足す必要があります。ここに設計者の判断が入るため、バラシには時間がかかります。
効率化の方法は、外注、CADのテンプレートやマクロ、自動製図ツールなどさまざまです。3Dモデルから決まる作図部分は自動化し、設計者は基準や精度といった判断に時間を使う、という分担を考えてみてください。
図面バラシの効率化や自動製図についてのご相談は、お問い合わせから承っています。
本記事は、3D・CAD・AI技術を活用し、製造業における設計検証・自動検図・設計/製図自動化のシステム開発に取り組む、東大発スタートアップの株式会社WOGOが執筆しました。

